楽しい仲間達や素敵なモノ達と一緒に、ゆっくりと時間が流れた後、
ずっと変わらずそこに残る空間の雰囲気、それが後に"レトロ"と呼ばれるのではないでしょうか。
中学、高校、大学そして社会人になってからも、振り返ってみると
いつも仲間達の集まれる場所がありました。
特に思春期を共に過ごした親友達との「溜まり場」は、今でもよく覚えています。
別に何の話題があるわけでもないのに、やたらと楽しくて、
毎日毎日くだらない話で盛り上がっていたように思います。
ただ、学校を卒業したり、職場を変わったりすると、
仲間達ともなかなか会えなくなってしまい、久しぶりに行ってみたりすると、なじみの店も閉店していたり…。
"今"は誰にとっても大事ですが、"ちょっと昔"の思い出に戻れる場所があってもいいですよね。
若い頃に過ごした思い出の場所に十年後、二十年後に集まって昔話に花を咲かすことが出来るような、
また、縁遠くなってしまった仲間達がすぐに昔を思い出して居心地よく過ごせるような、
そんな空間を誰より私自身が欲しくて、この店を作りました。
店の広さに不釣合いなほど大きな吹き抜けの階段を設置したのは、
集まる時に一人一人の登場シーンを下から眺めて「久しぶり!」と声を掛けやすいようにと思ったからです。
店内で使用するアイテムがシンプルで飾らない物にしてあるのは、かつて皆さんを取り囲んでいた品々に、
思い出を重ねやすいようにと思ったからです。
また、大型プロジェクターを設置し、ご要望があれば何時でも思い出の映画や
自作されたビデオ映像などをお流し出来る用にも致しました。
天井に取り付けられたスピーカーから流れる懐かしい曲と、スクリーンの映像、
そして透明なグラスの向こうに座っている「ちょっとだけ年をとった仲間達」が
タイムマシンとなって昔を思い出させてくれる時、そこに"レトロ"が存在します。
長い時を経てなお、時を刻む古時計やセピア色に色褪せた写真のように、
十年、二十年、三十年経った後にこの店が"レトロ"な雰囲気を醸し出せればと思っています。
皆が待っている空間に向かって階段を一段一段降りて行くシーンが、
ある方にとってはいつか"レトロ"な思い出となり、
ある方にとっては"レトロ"な空気を思い出す入り口となって頂ければ幸いです。
それがル・カフェ・レトロの店名の由来であり私の願いです。
この店に来て頂けた全ての皆様が、ご自分だけの"レトロ"を見つけられますように。 |